オモイデ狂いの季節

自分用の観劇・鑑賞などの備忘録。気が向いたときに。ストリップのことが多め。

「恥の多い生涯を送って来ました。」

10月結のうちの3日間で大和ミュージック劇場にて開催されていた「奇綺SM」に行った。

前身となるイベントにも何度か足を運んだことがあるけれど、SMだけでなくあらゆるフェティシズムが爆発していて、綺麗で奇怪で愉しいイベント。お客さんたちも毎回来られているような熱心な方が多く、演者さん側との内輪ノリみたいなのも見受けられるんだけどそれが全然こう…いやな身内ノリみたいな感じじゃなくて、あたたかく楽しそうで、イベントの雰囲気もすごくからっとしているというか。良いな~と毎回思う。
だから満員御礼になるのはわかってた、丸一日居て楽しいのもわかってるんだから早く行って席取ればよかったんだけど、午前中しか開いてない役所にいく用事を済ませたりしてたら叶わずだったので、おとなしく2回目公演の途中から入った。当たり前に立ち見も立ち見。満員!

入ったらちょうど京はるなさんのオープンショーが始まるところで、もう一本早い電車に乗れてたらはるなさんのソロショー間に合ってたのかよ~~~ワーーーーンになった…

 

春theBLUEFILM嬢とこだちゃんさんのチームショー、「いつか王子様が」しみじみよかった…。
物語の王子様に憧れるようないたいけ可愛い少女が、絵本から抜け出てきた王子様に、王子様だけのお姫様にしてもらって……て流れなのだけど、どちらもキャラデザ天才バチバチにハマってたなあ。

こだちゃんさんの美少女はその純真無垢さが、たとえば指先の動きひとつや偶に恥じらってみせる仕草からも伝わるし、しゅんちゃんの王子様は王子然としたキラッとした振る舞いをしながらどこかちょっと少年っぽいのがいい。

綺麗な色のリボンを絡めた手と手を取り合い、抱き合った二人は幸せなキスをしてハッピーエンド、…とはならずに、最後のオチがしっっっっかり怖くて、エッ…と不意をつかれ、よかった。少女は王子の手によって「永遠」になってしまいましたとさ…。でも、あれはあれでハッピーエンドなのかもしれない?少女は幸せいっぱいのまま閉じ込められたわけなのだし…
しゅんちゃんが過去に自分の演目でも時折見せてくれた「人ならざるものが憑依してるときの笑い方」がめっっっちゃくちゃ怖くて(ほめてるよ)ほんとにいいんだよな~~

 

そして、しゅんちゃんのこの日のソロショーの演目「人間失格」がすごくて、ガツンとぶん殴られてしまった。という話をしたいんです。
恥の多い生涯を送って来ました、のフレーズで始まるこの演目は、もちろん同題の小説の主人公や、そこに反映されてるといわれてる作者の半生がモチーフになっているのには間違いないと思うんだけど、徹頭徹尾しゅんちゃんだ!!!と、観てる間じゅう強く感じていた。
生きるのしんどい辛いもうやめたい死んじゃいたいのに生きちゃってるし生きてたい、そういう感情の奔流を、言葉にはできないぶん身体じゅうで叫んでるようだった。し、それは紛れもなく演目の、道化を演じ続けて破綻した主人公のものだとわかってはいるんだけど、もしかしたらその一端はしゅんちゃん自身の発露でもあったりするのかもな、と思った。
演目の中で、破綻してしまった男の役と、その苦しみに共鳴して一緒に死んでくれる女役の二役を演じる形になっていて。その男と女の所作の違いというか演じ分けがすごかった。烈しくて哀しくて、その選曲とも相俟って泥臭くて、諦念の手触りみたいなものがぐっと身近に感じられたからか、よくわからない涙が出た。
同題の小説は、遥か昔サブカル女学生時代に一度読んで「なるほどわからん…」になり、大人になって大分経ってから読んでも「やっぱりわからんはわからんけど前よりもわかるかな?」くらいになっていた。

主人公はやっぱりだめなひとだとは思うけど、大人になった自分と似通ったところを主人公の中に見つけてしまうからだと思う。普段見ないようにしている自分の駄目さだとか、生き難さ。なんとか飲み込んだつもりでいたのに、偶に魚の小骨みたいに喉に引っ掛かる何か。
その小骨みたいな感覚が見事に思い起こされて、観たあとも暫く消えない。観終えたあとなにかを消耗したらしく、文字通りふらっふらになりながら帰った。駅前のコンビニで白湯買ったもん。白湯て。消耗しすぎでしょ。でもペットボトルでお湯売ってくれるの嬉しい、もっと色んな自販機とかコンビニで買えるようにしてほしい…

 

人間失格、作品のモチーフとしては暗い部類に入るんだろうけど、それをステージで演じきるしゅんちゃんは、命を燃やしてるって感じがして、めちゃくちゃに鮮烈だった。これだからしゅんちゃんをみつめるのはやめらんねえわと思った。

ポラは無しで演目後そのままオープンショー、汗だくのショートカットの髪を掻き上げてからチップをくわえてくれた笑顔がきれいで泣きそうになってしまったじゃんね。オレ、オマエ、スキ………

 

この日、実は大和来る前に整骨院も寄ってきたようなボロボロの体だったので、立ち見で長時間は無理だわ…と判断し、場内にいた時間は短かったのだけど、藤白みかこ女王様の観客調教や、愛子さんのソロショー、結奈美子さんの自吊りのショーはフルで観た。

観客調教は和やかながらしっっっっかり痛そうだったし女王様の客あしらいがお上手すぎてめちゃくちゃ笑ってしまった。愛子さんの鮮やかな入れ墨が本当にきれいで、舞う姿が完全にヒトを捕食する美しい女郎蜘蛛の化身みたいで嘆息した。結奈美子さんはいつどの演目をされていても一秒も目が離せなくなっちゃうな…。エッエッエッそのお靴で!?と焦ったけど、苦悶の表情さえ淫靡で、縄が食い込む肢体も綺麗で、目が離せなかったです。

いつも観客全員を手玉に取るようなゆいなみさんのオープンショーを拝見するのが大好きなんだけど、今回あのとんでもないお靴を履いたままだったのでゆいなみさん自身は立ち上がらないオープンショーで、でもあの不敵な雰囲気はそのままで、すごいな~と思いました。
あとイベントのオープニングがめちゃくちゃ可愛かったのですがあれは各回必ずやってたんですかね…?ほら他にも観たかったものだらけじゃんやっぱり朝から行きたかったな…
奇綺SM、前述したように軽やかな雰囲気の妖しく楽しいイベントなので、今度はまたゆっくり時間とって行きたいなと思います。楽しかった。

俳優・加藤シゲアキの舞台に感嘆した非ジャニオタがNEWSというアイドルに邂逅した話

私自身は現在、ジャニーズ事務所に所属されているタレントの方々に対して特別な興味を持つことはない、所謂「非ジャニオタ」の人間なのだけれど、日頃から死ぬほどバイブスの合うエンタメ狂いの友達に激推しされ、加藤シゲアキ主演の舞台「モダンボーイズ」の観劇に同行し、その脚本や演技に感銘を受けすぎたあまり、暑苦しく長文感想語りしたことがある。

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(自分用の備忘録のつもりだったのに当時は想定したより沢山のシゲ担さん方の目に触れてしまい、もしや失礼があったのでは?と怯えたけど好意的な目で見て頂いたようで、見知らぬ方から優しいリプライなども頂き、その節は有難かったです)

余談だけどモダンボーイズはあまりにも最高すぎて、この後ひとりでもう一回おかわりして観に行きました。花の都に彗星の如く現れた東洋一のモダンボーイである浅草エフリィ様の御姿が映像化されないのを思うと、悔しくて今も気が狂いそうになる…。

 

前述の、NEWSを「信仰」レベルで愛している熱心な友達と、大好きな漫画ゴールデンカムイ連載完結で北海道熱が盛り上がり、以前から行きたいねと話していた北海道旅行の日程を本格的に相談したところ「実は8月にNEWSのツアー初日があって、旅行がてら一緒にいかない(笑)?」的な答えが返ってきた。
これはただの冗談でカッコワライでノリですを装ってたけど、彼女との付き合いも長くなってきたからなんとなくわかる、いやカッコワライじゃないだろ、3割くらい本気で「あわよくば」だな…やってんな………と察知し、そこは私もノリと勢いで生きてる女なので、観光の日も設けてくれるなら旅行がてら一緒に行く旨を提案し返した。そう返ってくると思わなかったらしい彼女は喜んで、こうして私の初・ジャニーズのアリーナ公演体験が決まった。
あらゆるジャンルを通ってきたオタク人生も20年を過ぎて長くなると、思いもしていなかった新しいものに驚かされる経験はもうそんなに多くはないながらも偶にあって、それはいつだって嬉しいから、やっぱり期待してしまう。まして好きなひとが好きなものなら尚更。彼女は、私の大好きなNEWSを一度でいいから生で観てみてほしいとずっと言ってくれてたし、一度応えてみたかった。私は彼女に激甘なので…
舞台「モダンボーイズ」での役者・加藤シゲアキに感銘を受けて長文語りした際、「次はアイドルの加藤シゲアキさんにもお会いしたいです。」とかいう“カマし”で結んでから約1年半、思ったより早くにそれが叶ってしまった。
それにしても、ツアー初日しかもハイシーズン8月の北海道ってよほど熱心なオタクじゃないと行かない公演だろうに、初見が遠征で入るのなんかウケるな。しかも「音楽」という強気極まりないタイトルを引っ提げてのツアー。「音楽」て。すご。

 

周りの友達や家族との雑談の中で、北海道旅行がてらNEWSのライブに行く旨を話すと、往々にして「ジャニーズ好きだったっけ…?」と訝しげにされた。いえ、特には…。そして次に決まって「NEWSって今人数少なくない? ライブやれてるの? 大丈夫なの?」的な反応がくることが多い。(余談だが何某かのオタクをしている人だと決してこれを言わないことに感心した)
私は友人からNEWSに関するサブリミナル英才教育を受けてるからわからなかったけど、一般的なお茶の間の認識ってリアルにそんなものなのかもしれない。
結論から言うと、その認識間違ってるから!!!!!!!!と大声で否定したくなるような、「音楽」のタイトルに恥じない凄いライブで、他では中々味わえないエンターテイメントだった。

 

NEWSが3人になった当初、4人のライブ観て欲しかったのに叶わなくなっちゃった、と件の友人が零していたことがあって、私は私で、円盤で見せてもらったNEVERLANDやEPCOTIAのライブ映像がとても良かったのもあり、その時点では、4人のライブ観てみたかったなあ、と残念に思った。
でも今は3人のNEWSが初めて観る生のステージで、よかったと思う。音楽前音楽後くらいで彼らの解像度が違う。それこそ「また別れを知って それでも明日へ 理想を掲げ傷ついていく」彼らが立ち上がって、その道程を彩ってくれているような楽曲を歌う姿が美しくて、美しいのに泥臭くも見えて、心を打たれた。
彼らが3人であることに意味を持たせフルに活かした演出も沢山盛り込まれていたし、3人になってから生まれた曲のキーも、それぞれにとても合っている気がする。突き抜けるようなハイトーンボイスが美しかった手越さんのいない今、増田さん一強で歌ウマみたいなイメージがあるし彼は実際に高低両用で声も表情豊かでとんでもなく歌上手かったけど、私は他2人の歌唱もかなり好き。小山さんの甘~い低音と、何より、加藤シゲアキのちょっと特徴的な響きの高音を、全部絞り出すように歌うときの声、あれ性癖すぎるし胸に刺さりすぎるから、歌割りしてる方とは大変趣味が合う…
NEWSくんはネタバレを嫌うから…と事前に教えられていた通り、序盤MCで小山さんからの緘口令が優しい口調ながらもしっかりと敷かれて、これ知ってる! 予習済のやつ! ってテンションが上がった。なのでセトリや演出については詳細を書かないほうがいいんだなと思いネタバレしないように気を付けるけど、何ぶん門外漢が好き勝手に感想を書き殴ってるだけなので、問題があったり不快にさせる部分があったらそれはすみません…

 

まず登場の演出からして凄かった。全くみたことのない系統の仕掛けかと言われたらそれは否なんだけど、とにかく登場から一曲目にかけてだけの短い時間で、会場全体を一気に引き込んで、いきなりピークへの持っていき方が段違いで凄くて凄い。純粋な高揚感でちょっと涙まで出てくる。
ツアーの表題アルバムの流れがある種のストーリー仕立てになってるから(当然のようにインタールード全部手掛ける加藤シゲアキ先生流石です)大まかな流れはそれに沿って、他の曲が途中で差し込まれてく感じになると思う、という、順当であろう友達の予想は事前に聞いていたけど、その差し込み方の妙。緩急うめ~!になった。

あと、大きい会場の公演では近年割と多くみられるけど、スクリーンに常に歌詞を出してくれるのってめちゃくちゃ有り難かったなあ。エモ曲が多いから歌詞も見たいので…
歌詞、邪魔にはならないながらも意識を向ければちゃんと見えやすい絶妙な存在感で大体ステージ両脇のスクリーンに表示されてたのに、曲の歌詞によっては、リリックビデオか?と思うほど、なんかオシャレ素材に加工されてメインステージに出張ってくる場面も多かったので、製作側の、ここ! 見て~! みんな~! ここのフレーズは絶対見て~! という強い意志を感じた。製作側、NEWSにエモを託すの大好きなんだな…わかる…

 

加えて私が驚いたのは彼ら自身のアイドル度の高さだった。元々、地上の女の子アイドルをかなり熱心に好きだった時期もあるし、地下の現場に通っていた時期もあって、それなりに色々見てきたつもりでいた。でも齢30代も後半に差し掛かる彼らが大きなステージでアイドル仕草をするときの破壊力ときたらもう…ジャニーズ事務所で20年以上生え抜きでアイドルやってる方々ってこんなにも? こんなにもなんですか!? と大声でてしまうくらい、アイドル曲では息をするように自然に、めちゃくちゃにキラキラの「アイドル」していた…某曲可愛すぎて卒倒しそう。
なんかもう、やってることがジャニーズのアイドルって域じゃないよな…と良い意味で思うところが、これまでライブ円盤見せてもらっている中でも多々あったけど、実際みて認識がちょっと変わった。アイドルの域じゃない、とこちら側に思わせつつ、自分たちがジャニーズのアイドルだからこそやれることを熟知し尽くしてる、本物のプロの仕事を見た気がする。彼らを愛している製作陣込みで。

「音楽」という強気なタイトルを掲げて、アイドルの域じゃないことをしながらめちゃくちゃにアイドルもしてくれる、こんな最高があるのか。あった。

 

メインステージ、花道、センターステージ、外周トロッコ、を良いバランスで使い分けて、どの座席の位置からでも皆一度はちゃんと肉眼で顔が見えるような構成にしてるのすごくいい。トロッコに乗ってぐるっと回ってくところで腰抜かしたんだけど、小山慶一郎さんのファンサ、あれ何? 小山さんって全員の彼氏…?
増田さんと加藤シゲアキももちろんファンサはしてくれてる。顔を向けたエリア一帯に笑顔でお手振りしたりする仕草は可愛くかっこよく気安くてとってもアイドルだ。でも小山さんはちょっと違う、全力のアイドル仕草でありながら、たぶん誰のファンであろうと関係なく、目の前の全員のことを遠距離で久々に会った恋人かってくらい会えて嬉しい顔で愛情を注ぐ。

個別で投げちゅーの嵐も指でバンバン狙い撃ちも当たり前、極めつけに弓を思いっきり引いて撃ち込む仕草までしてて、どうなってんの?って慄いた。アリーナ規模なのに距離感を全然感じさせないのすごいな。ファンサの鬼。あと足が長すぎて股下59メートルありますか?
そういうのやMCの回しの上手さ以外にも小山さんに関してはすごく感心したことがあって。ある曲の中で客席が自発的にグッズのカスタネットを鳴らし始めたんだけど、きっと曲によっては意図してた演出とイメージが違ったり、その音が邪魔で歌いにくかったりもするんだろう、増田さんが少し表情を顰めたらしく、それをすぐに察して、にこにこしながら大きく手を振る動作を客席にやって見せたところ。ひとの表情や空気の機微になんて敏感で優しい人なのか…。それでいて客席側の誰も傷つけていないところ、さすがだ。(すぐに意図を汲み取って切り替えたファンの人たちのマナーの良さもすごい。ステージへの集中力もとても高くて、本当に良い現場だなと思った)
そんな小山さんのソロは、毎回ギャルのランウェイ率が高いと友人から入れ知恵されていて、何言ってんだこいつと思ってたのに、実際みたら確かにここはTGCかな?と思うくらいにギャルみあった、あったけど、前述のパーフェクトファンサ仕草や垣間見える繊細な気遣い上手の面も相俟って、いや、歌舞伎町の1億6千万円プレイヤー…? の気持ちになった。年間売上1億円超指名本数万年上位。本日のラスソン。新宿を爆走する小山慶一郎アドトラックの幻影を札幌で見てしまった(?)

 

増田さんのこと、まっすーじゃなくて増田さんって自然に呼んでしまうのは、もう完全に同行の増田担の友人の影響だろうな。増田さんは、幼児みたいにいとけなく見える瞬間もあるし、雄みあふれる色っぽい大人の男性にみえる瞬間もある、曲やダンスや演出によって全く違う生き物にみえる、不思議な存在だなと思った。違う人に見える、ってレベルではなくて、違う生き物って言い方のほうがしっくりくるかもしれない。
前述したカスタネットの音が歌唱を邪魔することに対して、ステージの上なのについちょっと嫌な顔をしてしまっていたのも、すごく「生」っぽくていいなと私は思った。増田担の友人が、増田さんがいかに高潔で美しいアイドルかについて熱く語るのをよく聞きつつ、日頃のテレビのバラエティでポンコツいじりされてるところを見かける時とかにうっすら感じていたことなんだけど、本当に、歌うこと・表現することにとことん全振りの人なんだろうな。あのときに瞬時に汲み取って角が立たないやり方をとった小山さんも、そういう増田さんのことをよく理解してるからの行動なんだろうし。チームワーク…
本当に何度も言うけど、増田さん、歌、うんめ~~~~~~
これは既にNEWSを好きな人からしたら、空は青いとか鳥が飛ぶとかと同じくらい当たり前の事象なんだろうけど、生で聴いたの初めてだから何度も言ってしまうの許してほしい…。増田さんは、歌が、上手い。

 

加藤シゲアキさんのことを本当は小山さんみたいに可愛く「シゲちゃん♡」って呼べたらいいのに、ついフルネームで呼んでしまってる辺りからもうお察しなんだけど、加藤シゲアキやばい。加藤シゲアキさんほど自分のブランディングが上手くて自己プロデュース能力に長けている人って、もしかして類稀なんじゃないですか…
たとえばダンスひとつ取ってもそうで、増田さんはいかにも強そうな体幹でキレキレに踊るし、スタイルおばけの小山さんの長い手足やすらっとした体躯はめちゃくちゃステージ映えする武器だ。加藤シゲアキさんはなんか…なんていうか抜き方みたいなのがマジで抜群に上手い!と強く感じた。

振り付けの「止め」の部分、ふっと力を抜くタイミング、視線ひとつの配り方、大写しでカメラに抜かれることまで全部計算済みかのような絶妙な表情の作り方、何? 全瞬間を制している? 全瞬間目を離したくないのですが…
あと本当にすみませんあれだけネタバレすなとあれだけ(やんわりとではあるが)言われたのだからネタバレなしで感動を書くのが美しい形だろうと思ってたのに、やっぱりこれだけは言及したくて死にそうなので加藤シゲアキさんのこの点にだけどうしても触れさせて欲しくてここから該当部分の数行を伏字にするのですが(白色の文字で記すのでネタバレ大丈夫な方だけ反転させるとかコピペするとかで読んでくださいそこまでする人いないと思うけど)

いやソロ「Agitato」殺しに来てる?
曲だけ聴いたとき「え、なんかよくわかんないかも」とか言ってごめんなさい泣泣泣になった。一瞬で平伏した。そりゃわかるわけなくて当然だったんだよな我々は民衆でシゲちゃんは気高く美しい茨の国の孤高の王様なんだから…(???)
軍服?ってより式典服?みたいな黒い上下に銀の有刺鉄線?の冠、玉座に腰かけて、アップで顔抜かれた瞬間に唇の片端だけ上げて不敵に笑うのずるいずるすぎる最高。ここで本当に、いばらのおうさまじゃん!!!!って小声のクソデカボイスで叫ぶ狂人になっちゃった。さようなら。
一度観ただけだから記憶違いのとこもあるかもしれないしいやわかんない本当に何もわかんないまんまなんだけど私が思うより加藤シゲアキが危険ということだけはわかった。
あと登場からずっと前髪おろしてたのにこの曲くるちょっと前に衣装チェンジと共に前髪上げてスタイリング変えてきてんのこの布石でもあったんかいと気づいてスゴ……になった。才色兼備にして自己プロデュースの鬼な加藤シゲアキ、最高にして上質すぎる男……

以上ネタバレおしまい。

あとこの日のMCで、小山さんのホテルの部屋のエアコンから異音がするので部屋を変えてもらった先がスイートルームで…というくだりがあって、その辺で「小山さんさあ!!!」と嬉々としてあれこれ突っ込む加藤シゲアキさんの様子、正直強めのマウントにしか見えなくて、アッこれが…「こやしげ」ってコト………? と、シンメという概念の強さに触れた気がしました。非ジャニオタ、初めての気づき。


NEWSのライブには原則アンコールが無い、というようなことを事前に聞いたとき、へぇ~?とびっくりしたんだけど、本当にその通りだった。(ツアーファイナルとかはその限りではないんでしょうけど)

確かに、どんなライブにおいてもアンコールってまあまあ形骸化しがちというか、どうしてもアンコールありき、予定調和的になってしまうのは否めないとこあるし、いっそ無くてもいいんじゃないかなと思うこともあるけど、NEWSのライブの終演のときほど、アンコールなくていいなと良い意味で思ったのは初めてだったかもしれない。

ひとつの舞台の終幕を観てるような、長い映画のエンドロールを観てるような気持ちだった。彼らがやりたいこと、観客に見せたいものが本編中にぎゅっと凝縮して完結している、無駄のない美しさだった。私は物語が好きなオタクだけど、ちゃんと終わることのできる物語こそが美しいと思っているしそういう物語が好きだから、これには痺れたなあ。結論から言って私が一番聴きたがってた楽曲は今回やらなかったけれど、それでもものすごく満ち足りた気分になった。
すごかった、と言って隣の友達を仰いだらぼろぼろに泣いて放心状態になったのち、「私の世界にはNEWSかそれ以外かだけでいいんだって改めて思った…」とだけ言ってて、宗教………という気持ちになった。重い…
でもそうなってしまう気持ちも少しわかる気がする。あんなに楽しくてキラキラしていてザ・エンタメなのに、どこか退廃的なにおいというか死生観に思いを馳せてしまうようなところがあって…言語化が難しいんだけど…それが、自分で食べてみなきゃわからないし、いざ食べたら食べたで堪らなく癖になる毒の部分なんだろうなと思った。甘くて美味しいばっかりだと、何でもつまんないもんね。

NEWSは聞きしに勝る存在感のアイドルだったし、私の心を震わせた舞台「モダンボーイズ」の上演から約1年半、やっとで邂逅を果たしたアイドル加藤シゲアキさんは、アイドルにしては些か蠱惑的すぎる感のある、美しいひとでした。大満足。

 

 

1回くらいは観ておくか…の気持ちだったのに、いつしかもう1回くらい観たいな…になって、この感想文をばーーーーっと勢いだけで書く傍ら、さいたま公演のチケット1枚なんとかならんか…と探している途中で、急に40℃超えの熱をだしてそれはもうめちゃくちゃに寝込んでしまい、頓挫してしまいました。
幸いにもコロナじゃなくて扁桃炎だったんだけど、今時期コロナじゃなくてこんな熱だす奴いる?ってビビってしまったし、喉痛のせいで数日間まともに物が食べられなくて体力も低下してしまい本当に本当にキツかった。健康でないとオタクはできない。健康は何にも代え難い…。

今やっと戻りつつある健康に感謝しながら、「1と0と加藤シゲアキ」とりあえず予約しました。なんか体に良さそうなので………(作家生活10周年おめでとうございます!)

 

ひとつだけ不満があるんだけどジャニーズ楽曲何故whyダウンロード販売してない…………サブスクに入れてくれとは言わんからせめてデータで買えるようにしてくれたらいいのにな~~~~!!!これやってくれるだけでだいぶジャニオタ以外への間口も広がると思うんですけどどうですかジャニーズ事務所さん!

この世にあってほしいもの

後にも先にもわたしの「一番」だった女の子が、ストリップを引退してから半年が経った。

 

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ストリップのことはもちろん大好きで、あれからも劇場には行ってるけど、頻度は月1~2回程度に激減してしまった。良さそうな香盤だから観たいなと思う週があっても、早く起きれなかったから仕方ないかとか、仕事で間に合いそうにないからなとか、なんだかんだ自分の中で言い訳みたいに並べる行かない理由のほうが勝ってしまって、前よりも確実に劇場から足は遠のいていた。それでも行くたびに、行ってよかったと思えるのは本当なんだけど…。
好きだ・素敵だと思う踊り子さんはぱっと名前が浮かぶだけでも両手じゃ足りないくらい居るし、ス客6年目の今、熱心めな客からうす~い感じの客になったとて、劇場に行けば新しいよろこびや気づきはまだあるのだ。

それでもなんだかどうやったってどこかに穴が開いたみたいだった。

そこそこ長く生きてきて、好きなバンドやアイドルの活休解散脱退果てには御逝去まで経験してる、喪失感の甘やかし方もなんとなく身についてる、それなのにこれは初めてで戸惑うんだけどこれってどうしたらいいんですか? なあおい。
とはいえ私の「好き」の依存先はいくつにも分散しているので全く違う他の場所で楽しくやっていることもありそれなりに愉快に暮らしてはいる。でもふとした瞬間に、あ~~~穴が開いてるな~と思うのよ。これってこのままなんだろうな~~って。その穴すら愛していくつもりでいるからまあいいっちゃいいのですが…。ところで依存先を分散させておくのが自立ってことだと見かけたことがあるけどそうなの? じゃあ依存先をいくつも持ってる私はもう自立してるってこと? 子供部屋おばさんなのに? それともそういうことではない? そう…

先日、信頼と安心の親友と久しぶりに連れ立って、これもまた久しぶりの池袋のミカド劇場に行った。春野いちじくちゃんの周年週で、イベント日だった。香盤が豪華だしなによりいちじくちゃんをお祝いしたい人たちが多くて、本当にめちゃくちゃに人が多く…。混雑具合があまりにもだったので気力がもたなくて仕方なく劇場を出たり入ったりしながらなんとか。私たちは放っておけば永遠に喋って笑い転げていられる二人だから喫茶店のケーキで時間を潰すのは容易いけど、外に一歩でるたびに大雨で靴や服が否応なくびしょ濡れるのにも辟易。減っていく体力。
それでもイベントには間に合うように機を見て戻ったら、出入り口まで人がパンパンになりすぎていて、扉すら開けられなかった。困っていたら、従業員さんが親切に、こっちから入っていいよと従業員通用口を開けてくれて、やっとで場内に入ることができた。
初めてくぐった通用口の先はトイレの前を通過してちょうどミカドの下手側壁際に出るようになっていて、急にひらけた視界に一番にまっすぐに飛び込んできたのは、ステージの上でライトを浴びた六花ましろさんの肢体だった。

ましろさんはちょうどポーズをきっているところ。場内の熱気と湿気で淀んだ空気の中、天井に向けてまっすぐに伸びるましろさんの足や、背中にうっすら浮かぶ汗や、どこを見ているかわからない涼やかで不思議な眼差しを見ていたら、よくわからないけど、今わたしはこの世でいちばん美しいものを見てる!ってなって、これもまたよくわからない涙が出そうになった。が、耐えた。横にいる友達はもう泣いてた。

私はストリップを芸術とは思っていなくて(芸術的だと思うことはある)エンタメであり風俗だと捉えて楽しんでいるけど、ストリップ劇場にいると「今わたしはこの世で一番美しいものをみてる!」って気分になる瞬間、結構あるな。ここでいう美しいっていうのは一般的にいう「美」だけじゃなくて………まあとにかく、ある。画一的じゃない美しさ。だから私はまた劇場に足を運ぶんだろうな~と思う。今はとりあえず4月中の渋谷はひたすらに楽しみ。


ストリップを引退したしゅんちゃんことShun the Bluefilm嬢のバーレスクデビューを観てきた。いいね、いい名前。
開いた穴が云々とかごちゃごちゃ言ったけど、しゅんちゃんと会う機会が失われたわけでは勿論なく、現に引退してからの数か月の間にも機会を作ってくれてて、顔見れてるし喋ってるし髪めちゃ短くなって世界一かわいいし笑うと目がきゅうってなるの世界一かわいいしそういうの見れてて全然贅沢なほうです。でも、踊っている姿をみれたのは引退日以来でした。
結果すごいよかった。やっぱ最高。黒いヴェールで顔を隠して椅子に伏せたところからちょっとダウナーに始まって、内包した熱がじわじわ上がってくる感じ、挑発されてるみたいでめちゃくちゃ気持ちいい。すっかりきもちよくなってたら、最後の一曲で急に泣きそうになってしまった。ずるい。紛れもなく私が「この世にあって欲しいもの」と思うものだったし、私がずっと欲しかった視界だった。多分、自分で思ってたよりずっと。
過去に一度観に行った別のバーレスクショーは、舞台は大きくて衣装こそ華やかで女の子たちはとても綺麗で可愛かったものの、私にとっては本当にそれだけだな、という感想だったのでそれきりになってたんだけど、この日みせてもらったバーレスクショーはおひとりおひとりどの方も素晴らしく、めちゃくちゃゴージャスな大人のエンタメで、私がバーレスクに求めてたのはこれだったんだ!って嬉しくなったし、とっても元気がでた。AFTER PARTY TOKYO、また行く…。歌舞伎町の雑居ビルにいきなり秘密の隠れ家みたいにあんな空間が一室だけあるのも、なんかいいな。


近々子供部屋おばさんを脱する予定。
話自体は去年からあったんだけど、友達が誘ってくれて一緒に住み始める予定で、いつ頃に物件決めていつ頃に引っ越しをするかという具体的な話をした。色んなことを知っていて、思慮深く、趣味きっかけで知り合った割には趣味が合うかというと基本的にはそこまででもなく、でも肝心なバイブスは合う、あと味覚も合う、いつも不思議な身軽さがある友達のことを私はとても好きなので、なるべく長く楽しく色々ほどよい感じで暮らしていけたらいいなあ と思っている。
これだけは先に言っておくけど私が作るポテトサラダには絶対キュウリ入れないからね!と言ったら、私が作るポテトサラダには普通にキュウリ入れるけどじゃあ食べないの?って言われて、それはありがたく食べる、と即答した。平和。なので最近は物件情報ばかり見ています。古くてもいいけどひとり一部屋のほかに、一緒にごはん食べられるくらいの共同スペースは欲しいな。あと小さい一輪挿し買って、花も置きたい。新しいことが始まるのはわくわくする。

2021年9月中・美月春ちゃんが引退した話。

が少し遡るけど、6/10の夜はその週の楽日が終わって、覗いたツイッターのタイムラインは、それぞれ違う劇場の楽日を観に行ったひとたちの楽しそうな言葉が飛び交ってた。自分が劇場に行った日でも行ってない日でも、楽日の夜のタイムラインにあふれるちょっとした高揚感を眺めるのが好きだ。

日付が変わってそれもすっかり落ち着ききった時間にそっと放たれてた手書きの、「美月春はストリップを引退します。」の文字を見た時は、ああ…、と思った。まさか、とは思わなかったけど、やっぱり、とも思えなくて、そうなのかあ、の溜め息に近い、ああ…、って気持ちだった。結局その夜はぼーっとしたまま眠くならずに一睡も出来なくて、友達が心配してくれたラインのメッセージも朝になってから見た。大丈夫? とは決して訊いてこないのが優しいなと思った。

 

これは所謂おきもち長文、ただのオタクの激重回顧録なので読まなくて全然いいやつです。自分の気持ちの供養のためにふりかえるだけのやつ。元々このブログもそれまでの期間限定で回顧として書こうかなと思っただけだった。その割にはすっぽり八月の記録が抜けてるし。いい加減すぎる。でもこれだけは書いてから終わりたい。自分のための回顧録だから。

 

美月春ちゃんは私が最初に好きになって、それからずっと一番好きな踊り子さんだ。四年前の秋に初めて出会った。ストリップ劇場に行くのは二度目、その二週間前に初めて劇場に行った時はとにかく全部が目まぐるしくて何だこの感覚!?って、同じく初のストリップ観劇をした友達と五時間語り倒してもその高揚の正体がわからなくて、もう一回観たらもう少し冷静に突き止められるかな…と、同じ道頓堀劇場に今度は一人で足を運んだ。

私はフットワークが軽くデータ収集タイプのオタクなので、今度はお名前とお顔くらい一致させておきたいと思いこの日の香盤に出る踊り子さんの名前から、プロフィールや前情報をわかる範囲で調べてから行った。このみづきさんって名前のひと、私の好きなアイドルアニメの女の子と同じ名前だ、自分で同人誌描く踊り子さん? へー、どんな人なんだろう。

一度目よりも二度目のストリップ観劇のほうがやっぱり落ち着いて観れて、調べておいた踊り子さんたちのお名前とお顔を一致させながら楽しく観た。その四番目、道劇チームみづきしゅん、のアナウンスを聞いて、あれってはるじゃなくてしゅんって読むんだ、と初めて知った。

この時のステージで出してたのは、4周年作だった「愛の讃歌」。当時黒とピンクのツートンに染めていた髪と強い眼差し、おっきくて形がよくて見るからにやわらかそうなおっぱい、王道バーレスクっぽい感じなのかなと思ったのにそれよりもちょっと尖った選曲が、あっこれは完全に好きな女の子のそれ…と思って見惚れて、その演目の大胆な解放感のあるポーズベッドの最後、愛を返すように宙に大きく投げキスする仕草によくわからない涙が出そうになって、たった一度の15分?16分?で、多分この子のこと好きになった、どうしようと思った。とにかく素敵だったということだけ伝えたいけど、なんだっけ、写真撮影の列に並ぶんだっけ、ていうか他に女の人いないけどそもそも女が並んでいいものなんだっけ、本当に迷惑じゃないかな?と、前回もみた光景だし下調べもした筈なのに全部トんで混乱極まる頭を奮い立たせて列に並んだ頃には春ちゃんはさっさとポラ着を脱いで「脱ぎ」になってしまっていた。

目の前に来るとステージでみるより体がちっちゃくて、強いなと思ってた目は笑うときゅうと細くなってその仕草がかわいくて余計に頭が混乱した。初めましてですよね、って言われた後はよく覚えてない。とにかく貴女が素敵だったとか会えてよかったですとか早口で一方的に言って、なんとか写真を撮って、握手をしてくれた。ぎくしゃく離れようとしたら、私きのうまで風邪で熱あったから、念の為うつさないように消毒しようって消毒液を手のひらに伸ばしてくれて、手の柔らかさにドキドキしつつ、おだいじにしてください…とかむにゃむにゃ返してしまい、居た堪れなさになんかもう消えてなくなりたかった。自分は女の子のアイドルとか、インディーズのバンドの現場も色々通って打ち上げも行くくらいだったから、本人接触系のイベントには慣れていたつもりでいたのに、今までと全然違う。いちばん緊張したかもしれない。体ひとつであれだけのもの見せてくれて、まして、その裸をみたばっかりの女のひとと喋るのなんてそれまでと全然わけが違う。無理じゃん。

その日は夕方から友達の結婚祝の宴席があったから次の回までは居れなくて、写真は受付返しになった。受け取った写真を見て自分に心底がっかりした。手が震えてるせいで全部ピンボケしまくり。雑魚かい…とがっくりしてたら、多分その代わりにと、おまけの写真を1枚入れてくれていた。受付返しなのに、サインとメッセージを書いてくれてて、また会おうね、と結んであって、あっこれはもうダメです…と思った。多分じゃなくて完全に好きになってしまった。

あれから数百枚はポラを撮ってるから会心の可愛い写真は沢山あるけど、アングルも冴えない上にピンボケしまくった写真は今も宝です。全部宝だけども。写真は別に撮らないかな、肌色多いと保管に悩みそうだし…とか最初に言ってた自分は何処に行ってしまったのか。専用のアルバムは増え続けたし、最初は恥ずかしくて撮れなかったツーショットもほんとに沢山撮った。自分の顔の造形は全然嫌いじゃないけど特に好きって程でもなくて、でも一緒にうつってる自分は幸せそうな顔してるから結構好きだ。遺影にしてもらおうかな。

 

とにかく私は熱しにくく冷めにくいオタク体質なぶん一度ハマるとそこから先は早くて、香盤を調べるということを覚えてから、行ける週は全部行っておきたいと思った。他の地方にも行ったし、限定の演目をやると聞けばストリップ劇場外のイベントにも行った。楽しかった。春ちゃんの世界をもっと観たくて知りたくてそれが全部だった。友達にもこんな面白い娯楽を知って欲しかったし、あわよくば春ちゃんのステージも観て欲しかったから、私が楽しそうに劇場の話するのを聞いて、興味あるって言った人たちはとにかく次々連れてきた。数えてないけど累計して二十人くらいは連れてきたと思う。そう考えると自分で思ってたより友達多いかもしれない。

最初に一緒に行った友達とは今も一番よく連れ立って行き続けてるし、その彼女とも喋る話がある。可愛い女の子がみたければアイドルをみればいいし、上手くて素敵なダンスをみたければダンサーさんのそれをみればいい。裸が見たい・触りたいならそういう場所だってある。でもストリップはそのどれにも近しさはあれどどれにも当て嵌まらなくて、演出も主演も全部を一人の女性が身ひとつで自作自演するもので。芸術的と感じることもあるにはあるけどそれ以前にちゃんと風俗だし、色々な側面を持ち合わせてて色々な見方をしてもいいとにかく自由なエンタメだと思ってて、だからこんなに好きで何度みても飽きないんだろうね。とか、そんなような話。

最初からそんなだから、春ちゃんが出演する以外にも気になる香盤があればフットワーク軽く劇場に向かう日々が続くうち、好きだと思う踊り子さんも沢山増えた。でもずっと私の真ん中にあるのは春ちゃんのステージで、彼女の早いペースでの新しい演目をみるたびに喜んで感想をしたため、何がどう好きかを語り倒し、手紙じゃ足りずに小冊子形式にして渡して「魔導書…?」とビビられたことすらある。さすがに重かったと反省してる。

写真のコメントが時折は交換日記みたいになったり、自慢したいくらい嬉しいけどやっぱり私だけのものにしておこうと思う言葉や気持ちも沢山もらった。好きなものの共通点が割とあるのもうれしかった。私は伝えたくて勝手に伝えてただけだからただの押し付けだけど、私の一番は春ちゃんだって春ちゃんが知っていてくれてるのは嬉しかった。

 

推しは推せるうちに推せ、とか、最近はよく聞く言葉だ(私はこの言い方も、推しって言葉も自分がするのはあまり好きじゃないけど別の話なので割愛)。長いオタク人生を送ってきて、突然解散脱退ならまだよくてメンバーが逮捕されたり死亡したバンドも、そんなそぶりはみせなかったのに急に“卒業“したアイドルも散々見てきたから、感覚としてはわかる。踊り子さんも、体を壊したり怪我でお休みしてそのまま戻られなかったり、ふっとお名前がなくなっていたり、事情があってもなくてもその人の決断だからそういうものだろうと思うけど、とにかくそういったことは決して珍しくないらしいのはわかってたから。

とにかく、後悔をしたくなかった。春ちゃんに対してだけは、もっと伝えていれば、とか、もっと観に行っていれば、とかそういう類の後悔をしたくなかった。絶対しないのは無理でも、後悔はなるべく少ないほうがいい。

そう思ったのもあるし、何より春ちゃんは常に「今日が一番よかった」て思う舞台をみせてくれたから。私にできる範囲でだけど時には少し無茶してでも多く足を運んだり、しつこくずっと一番って伝えていたのもあって、春ちゃんが引退を発表した時にも、もっと沢山会いに行ってたら…、とかそういう類の悔しさは殆ど無かったのは幸いだ。

でも、直後にSNSのあちこちで、彼女らしいとかあまりにも惜しいとかの惜しむ言葉をみるたび、正直悔しい気持ちにはなった。滅茶苦茶に身勝手な自覚はあるしどうせ私は嫌われ者だから言ってしまうんだけど、引退日に向けてお客さんが毎日いっぱいになるのも、賞賛の嵐になってたのも、ねえ~~~そうだよね!と思えてすごく嬉しいのに、本当は少し悔しくもあった。普段からあんなに“今”が一番かっこよかった春ちゃんをみてないひとがまだ沢山いたんだ、というのが単純に悔しかった。えっ怖っっっ。滅茶苦茶に身勝手でこえ〜オタクの意見だけど、終わったことなので許されたい…。私の情緒も乱れてたんだと思う。第一こんな時勢だし、来たくても来れない人、来たくても来ない選択肢をとっている人が沢山いるんだから当然なんだ。この感情はたぶん私が間違っている。私は葛藤がありつつも私のわがままで劇場に行くのは止めなかっただけだからね。

 

引退が発表されたときは、三か月あるし今までどおり取りこぼさないようにステージを観ればいいと思ってたけど三か月なんてあっと言う間だった。春ちゃんの名前の横に「引退」と書かれたポスターが劇場に貼られて、いよいよ9月中が始まってしまった。寂しいけど、やっぱり、これが区切りだよと教えてくれたうえで会う時間や機会を作ってくれるのは有り難かったな。六月はそう言い聞かせてただけだけど、九月には素直にそう思う。

前日までは情緒ぐしゃぐしゃで迎えた引退週も、始まってみれば初日からお祭りみたいで毎日本当に楽しかった! 春ちゃんが自ら共演のお姐さん方全員分用意した某漫画卍の特攻服を翻してのニ回目だけの特別フィナーレや、三日間だけ再演された春ちゃんと京はるなさんのセックスバイオレンスで最高に刺激的なチームショー。共演は春ちゃんと縁の深いお姐さん達ばかりで、いろんなところで皆さんの愛情深さを感じた。以前から好きだと思っているお姐さんばかりだったけど、もっとずっと好きになった。ひとつひとつ演目の感想を並べたいけどきりがないから別の話にしよう。

出来る限り色んな演目を毎日出してる春ちゃん本人は肉体的にも精神的にも消耗してたと思うのに、写真の時間のとき常に明るく元気に振る舞っていて、それを見てるとこっちも湿っぽくはしねえぞと背筋がしゃんとなった。演目を観たら心が動いてつい泣いてしまうこともあったけど、まあそれはそれ…。

これまでだって何処で何の演目を何度見ても嬉しいと思えたし、本人の心のままに演って欲しかったから最後の週の演目リクエストは出せないままだったけど、歌舞伎の弁天小僧をモチーフにした「弁天桜」、落語の演目から着想された「死神」のふたつは特に、美月春だけが演じきれる物語を感じさせてくれる演目だと思ってて本当の本当に大好きで、最後にもう一度観れたらな…と密かに願ってたから、また観れたことには感激した。水を被ると性別変わっちゃう某まんがモチーフのひたすら元気で可愛い「1/2」や、清姫の狂気だけじゃなく悲哀まで演じきる「道成寺」とか、久しぶりの演目を多く観れたのも嬉しかった。

楽日の演目は「truth」を演ること以外は伏せられていて、何を出すんだろうね? と、友達と予想を立て合ったりして(結果からいうと三つ中二つは当たりました!)それくらい健やかにこの週を楽しめていた。

 

ちょうど楽日がかかる世間の三連休前、台風の影響で天気が荒れた日があって、そういえば私デビュー週にも台風来てたんだよね、って写真の時に言ってたので、嵐を呼ぶ女みたいでかっけ…とか軽口を叩いたけど、台風で休館にでもなったらたまらないぞと実際には心配していたので、当日はスコンと晴れて安心した。快晴の朝の光を反射してぴかぴか光る看板の写真を撮った。

劇場は一回目から満員で、今日の進行は基本的にずっとダブルダブルピンという告知や進行状況のアナウンスが共演の踊り子さんのSNSなどでも何度もされ、満員ながらも順調に時間は進んでいった。大入りも出てた!めでたい!

 

春ちゃんの一回目「たこさん」。みんな好きだもんね! だって理屈抜きにかっっっっわいい。キャラデザが天才なんですよ。北斎春画からの着想でこの衣装になるとか、選曲とか、そういった細部にまで光る春ちゃんっぽいセンスが本当に最高なので、この演目の人気が高いのも大納得だ。一時期たこさんのおうちである壺が壊れてしばらくお休みされてたから、二年ぶりにこのタイミングでまた観れてよかった。

やらしく脚を動かすたこさんと睦み合うシーンがコミカルなのにめちゃエッチで好き。陽性のエロス。そこからたこさんといちゃいちゃしながらポーズ切ってくところも明るく可愛くていいよね…になる。いいよね…。

 

二回目は「死神」。私はこの二回目に違う演目を予想してたので外してしまったけど、結果それは嬉しい誤算だった。死神はすごく個人的な思い入れもある演目だったし、春ちゃんといえば、で浮かぶ演目の筆頭だと思うから。

落語から始まって、どんどん深い色を変えていくこの演目、題材から衣装選びから選曲から小道具使いから構成まで全て最高に美月春の世界だ…と観るたびに思う。にこやかな噺家さんの顔が一転、がくんと首を落として再び上げた時にはヒトならざる何かが憑依した面貌になる瞬間は毎回シンプルに怖い。新鮮にぞくぞくする。

亡骸に口づけて、愛しいひとの魂を呼び起こして一晩だけ愛し合う、という勝手な解釈で私は見ていて、そうだとして、肉体が朽ち果ててたとしても好いて好かれ抜いてる相手としてるんだなというのが伝わってくる。激しくて少し哀しいエアセ…後、とぼとぼ本舞台に戻っていって客席側をみるときの、こちらを見てはいるんだけど何処を見るでもないあの目に胸を突かれてしまう。満員の客席も圧倒されて張り詰めた空気になっていて、全部終わって照明が落ちたあと、拍手するのが数秒遅れてたくらいだ。なんかもう、凄かったな…

オープンショーのとき、春ちゃんが「死神」の骸骨の髪飾りを外して私の手に乗せてくれたの、一瞬なにが起きたかわかんなくて、近くにいたお客さん達がしてくれた拍手で把握して、年甲斐なくその場で大泣きしてしまった。一生ものの守り神だわこんなん。死んだら一緒に棺桶に入ろうな……

 

三回目「truth」は、引退作と呼ぶんじゃなくてクライマックス演目なんだと本人が云っていた。美月の名前が表すように、衣装の色やモチーフや照明からも月の光を連想する(某美少女戦士まんがの月の王国の王女様のことも少しだけ…)。選曲も全部気持ちや意味を込めてるんだろうなと思う。全部大事。数年前、劇場じゃないイベントで春ちゃんが披露していたショーの中で使っていた曲が、この演目のベッドでも使われていて。そのイベントの中で春ちゃんは自分の話をしていたんだけど、その時に触れていた「踊り子を続ける理由」のことを、その間じゅうぼんやり思い出しながら観てた。

とても綺麗だけどそれだけじゃなくて、選曲や仕草のそこかしこにほんのちょっとの毒っぽさもある。後光が射すティアラをつけてご機嫌な女神様みたいなのに、ふざけんなって笑って中指を立ててくれる顔が本当にどうしようもなく人間で、ああなんかすごく春ちゃんっぽいな、と思うのに、それまで観た春ちゃんのどの演目よりもやっぱりきらきらして綺麗だと感じて、悲しいわけでもないのに涙がいっぱい出る。

truthを一番最初に観たのは8中の渋谷で、その時は色んな感情が押し寄せてきて耐えられなくて、演目を観た直後に、客席外の階段の下で一人でわんわん泣いた。あの時よりも今がずっと綺麗だと思ったけど、もっと静かな気持ちで観た。片足だけを高く上げるブリッジも美しく決まるようになって、指先の動きはもっと繊細になって、クライマックスを迎えようとする最中にもずっと進化してたんだなあと感動した。

 

最終回、ラストの演目に選ばれたのは「6周年作」だった。ステージのライトが点いて、あの真っ赤で華美な衣装がぱっと現れた瞬間に、ステージの上に花が咲いたようにも見えるし、火が灯ったようにも見えるのが好き。この日は燃える花みたいに見えた。

決して芝居っ気が強い演目じゃないのに、架空の一人のストリッパーを体現してるみたいな、その生き方も内包してるみたいに感じさせてくれる作品だとずっと思っていたから、最後にこの6周年作なのは、なんだかすごくしっくりくる気がする。

ちょっと昭和っぽい選曲にあわせて(あんなにインパクト強くて一度聴いたら忘れないような一曲目がどこ探しても音源どこにもないのってなんかすごくない?)真っ赤な衣装と口紅で見せつける堂々たるストリッパー然とした魅力と脱ぎっぷり。それと、あの華美な衣装を脱ぎ去って、白いスカートを翻す「俺のあの子」の、奔放で茶目っ気があって、煙草の灰を落とす仕草に見えるようにあけすけで少し蓮っ葉な振舞いを覗かせてくれるコントラスト、春ちゃんが演じてる、ひとりの女のひととしてのストリッパー像がとてもいい。

激しいオナベと潔いポーズの後ろに流れる曲の、吐くまで踊る、というフレーズに、初めて観た時にはそう来たかと驚いたけど、すぐにそうでなくちゃと思うようになって、どの劇場で観ても本当に好きな演目だった。演目の最後、本舞台に戻ってから一礼して見せる表情にいつも胸を掴まれた気分になっていて、この日はいつもよりも強く心臓の裏あたりが熱くなる。渋谷、上野、大和、まさご、どのステージのスケールで観てもよかったこの演目だけど、私にとってやっぱりホームの道劇で観る春ちゃんはずっと特別だから、引退週が渋谷で、最後のステージでみるのがこの演目で幸せだった。

 

最終回のポラは無いからそのまま最後のオープンショー、劇場中の客が愛を手渡すのに、くしゃくしゃの泣き笑いで一人ずつにありがとうと返したり、一部のお客さんに衣装や香水を手渡す春ちゃんを見てなんかもう意味わからんほど滅茶苦茶に泣いてたんだけど、共演の踊り子さんや、それだけに留まらず他の場所から駆け付けた踊り子さんたちがご祝儀を渡して、笑ったり泣いたりしながらひとりずつ春ちゃんと抱き合うのをみたとき、マジで吐くんじゃないかと思うくらい泣いてしまった。オープン曲がアンコールしても中々鳴り止まなくて、ずっと終わらないでほしいくらい幸せな景色だけど、こんなに幸せな終わりで本当によかったと心から思った。寂しくて寂しくて仕方ないのに、今日このまま死んじゃってもいいかもと思えるくらいには幸せだった。ふわふわした足取りで劇場を出たら月が綺麗で、最初にストリップを観劇した時にも一緒だったしこの日も一緒だった友達が、四年間おつかれさまっていうのは少し違うかもしれないけど…って私にプレゼントと手紙を渡してくれて、私もスト客引退するのか!?!?ってびっくりしつつその気持ちが嬉しすぎてまた泣いてしまった。泣きすぎ。スト客は引退しないよ。薄〜い客にはなると思うけど…

 

最後の週に返してもらった写真の裏に、色んなとこ一緒に行ったね、と書かれていたけど、私は春ちゃんに色んなところに連れてってもらったんだと思っている。土地もそうだし、演目の世界でも。どの場所で、同じ演目を何度みても私にとっての同じ景色はひとつもなくて、どれも全部大事だった。演目の楽曲でつくった幾つものプレイリストを聴いてもステージ写真を見ても、全く同じようには思い出せない。でも、きっと考え抜かれた選曲、まばゆい照明、光る盆、焚かれてるスモークのにおい、香水のにおい、衣装の色、指先、自分の五感を全部働かせて受け取ったものは忘れたくない。

ちょっと気性が激しくて不器用にも見える時も偶にあった春ちゃんが、「舞台にしがみつく」という言い方をして、自身の好きなものや大切にしているものに対して背筋を伸ばして真摯に向き合っているようなところが私はとても好きで。芸事の世界の人の事を好きでいる上で、姿形や芸だけでなく、そういう気持ちの面でも好きだといえるのは私にとって幸運なことでした。

春ちゃんがストリッパーじゃなくなっても、ストリッパーの美月春がくれた沢山はずっと鮮やかなままだし、私の中で多分一番色鮮やかな四年間になった。見つけた一番星が偶々めちゃくちゃ燃えて輝いてる隕石で、心臓に風穴があいたみたいだと思ったんだった。私はずっとオタクで趣味は多い方だから好きなものがストリップ以外にもいっぱいある、なんならストリップでも好きだと踊り子さんは沢山いる、でも絶対に春ちゃんでしか埋まらない穴が私の中にあるって本人にも伝えたことがあって、それは変わってなくて、多分ほかのものでも、ほかの誰でも埋まらないまんまだと思う。でもそれでも全然いいや。春ちゃんの形に空いた穴なら全然いい。その穴も自分の一部として愛でていこうって今ならちゃんと素直な気持ちで思えてる。

一番最後の手紙の終わりには、またねって書いた。生きてりゃまた会えんじゃん。先の事なんてわかんないけど、そう思っといたほうが長い人生たのしいもんね。

 

8年間、劇場で踊り続けていてくれてありがとう。ストリッパーの美月春に出会えた私は、本当に幸せ者でした。

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2021年7月結・池袋ミカド劇場

ミカドの場内、なかなかに暑い!客席に座っててもじっとり暑さを感じるんだから踊り子さんたちは相当だろうなあ…。人よりも水分摂るほうだから暑いところでは水分補給をしっかりするけど、トイレでちょこちょこ抜けなきゃいけない問題isある。なので観てる香盤もヌケがあります。進行もとにかく巻き巻きなので戻る時間も読みづらいん…。


●星愛美さんのステージを観るといつも、美学、とか、矜持、って言葉が頭を過る。ステージを拝見したのは数か月ぶりだったんだけど、観るたびにお若く見えるようになる気がするし、動きのキレもすごい。そこしか空いてなくて本舞台前のかぶりに居たんだけど(首が一番早々に終わる席)得したかもなって早々に思うくらいにキレキレのダンスと衣装捌きを間近でみれた。私は特に2回目に出されていた、楽曲がお酒テーマのもので構成された演目が好きだったなあ。曲ごとに表情も身のこなしも全く違うのが印象的だった。

●栗鳥巣さんは池袋で一人Jフェスだよ。大人による大人の為だけのJフェスで石フェスでゲ右オンリーイベ…。3D同人誌だ。ご本人が好きなことを突き詰めてとことんやり続ける姿は潔くてかっこいいしそれをまたエンタメとして昇華してるところがかっこいい。
自吊りのギャルソンゲ演目と、援交ゲ(支部の注意書に倣うなら、現パロ・年齢操作ってつくやつだと思います)と、王道千ゲらぶらぶえっち演目「ペルセウス」。全て再見でやっぱりいいなあ!という思いを新たにしたし、ギャルソンゲの時だけ若干夢女入ってしまう自分も発見したんだけど、一番たのしみにしてたのは3回目の「ペルセウス」。最終回だから和服の衣装に白黒ウィッグもフル装備でやってくれてて歓喜だね…。
元々仲良くて全ての最高にバイブスが合う女っていうかあじぴにずっとドク…トは薦められてて、彼女が薦めるなら面白いんだろうなという信頼があったから履修予定ではあったけど、ちょうどその時に鳥さんの「ペルセウス」観ちゃったから脳がバグったんだった。当時この演目を一緒に初見だった元々ド…ストの女のあじぴは気も狂わんばかりの興奮度合でこっちが心配になったけど、原作履修した後となってはあの反応も納得しかない。だって、推しカプのセッ…を? 三次元で観られる? しかも鳥さんによるあの高解像度で? そんなのフジョシが死ぬ前にみる夢じゃん…
たとえば舞台化とかでわかてはいゆ~の皆さんが.5実写化してくれる可能性はままあっても、セッ…がみられることは絶対に有り得ないわけじゃん? でも叶う。ストリップ劇場ならね。これは、本当に、すごいことです。
シチュエーションの選び方も曲の使い方も演出も(肛〇鏡が出てきてドタバタするくだり、原作のノリを踏襲しつつキャラ解釈合ってて最高)言いたいこと挙げればキリはないけど、童貞×非童貞非処女の筆おろし的よしよしエッチからの寝かしつけは、いつだって最高だもん。大好き。
今の私は元ネタをアニメできっちり履修した後の私だから見える世界の解像度が前とはまた違うので、鳥さんのゲの仕草が逐一「本物」であることに震えるし、ラブラブエッチをみながら、あ~~~よかったねえ…と涙ぐむ限界オタクと化した。ここは池袋だからきっと正しい。隣で観てた千ゲのオタクは今日も静かに大泣きしていた。正しい。わかる。

●美月春ちゃんの「保健室のみづき先生」「板の/上の/魔物」「春宴」3個出し。回が進むにつれて激しさが増す仕様かな? 保健室は去年の夏にいっぱい観れて嬉しかった演目だったから、今年の夏もみづき先生に会えてうれしいな。冒頭のショタみあふれる元気な学ラン姿に行き場のない母性を刺激されて母乳でそうになるのに、ほどなくして現れる先生のどちゃエロい一挙手一投足と盆に広げた白いシーツの上での痴態、振り乱す髪とか握りしめて震える指先とか漏れる喘ぎ声だとかのあまりのエロさに、男も女も全員童貞になれる。エロいんだけどカラッとしているというか、清々しい気分になるというか、健康的にエロい演目だなあと思います。そういえばミカドを保健室にしたのは今週が初めて…?
「板の/上の/魔物」初見直後から、演目のプレイリストを作ってめちゃくちゃ聴き込んでるくらい好きなんだけど、聴けば聴くほどこの演目を観たくなる。だって曲があまりにも春ちゃんにハマりすぎてるから…。一旦テンポをぐっと落としてメロウな雰囲気になるベッド入りの時には、曲の歌詞がめっちゃ入ってくるし、胸にすとんと落ちてきて、この日は自分でもよくわからない感情でほぼ一曲中泣き通してしまった。泣いちゃうとステージがちゃんとみえなくなるからいやだ。私はもう何ひとつ取りこぼしたくないのにな。
立ち上がりの選曲がアゲすぎて涙も引っ込むけど。曲とシンクロし続けてずっと体温を上げ続けてくれるような感じがあってとても好き。お、ま、た、せ!のリリックに合わせて足を高く上げるとこが本当にかっこよすぎてかっこよすぎてさ~~~~~………汗かいて息きらして捌けてく様まで最高に生きててきれいだ…
「雷宴」ミカドで観れたのうれしい。こんなにかわいい雷神様がいるかよ。いる。劇場には。照明の色が濃いからハマるシーンには本当にバチッとハマるなあ。不敵で凛々しい表情で激しい動きを繰り出すとこがすごく好きで、鮮烈な閃光みたいだし春の嵐みたいな演目っていつも言ってるんだけど、祈りを捧げるような、恵みの雨を乞うような舞いのときは神々しさすらあって美しくて、そこも好きだなと改めて思った。

●蟹江りんちゃんは、海老江さんの演目と、めちゃくちゃお久しぶりにみれたリンゴの演目! 海老江さんの選曲ぜんぶ好き。ポップなミュージックなあの曲に合わせて踊るときの水色のサイダーみたいな衣装もめちゃくちゃかわいいんだけど、この演目のベッド着が狂おしく好き…似合いすぎていて…。ピンク×黒×タッセルでキラキラしてて可愛いのに夜っぽいイメージもあってどこかかっこよくて、少女っぽかったり少年っぽかったり不思議な雰囲気のある蟹ちゃんにぴったり。自分でも大好きと仰っているだけあって、踊ってて楽しいっていうのが伝わってくる。関節の動きが柔軟なのか、次々決まってくポーズも柔らかいのに鋭さもあって綺麗だなあ。
リンゴの演目を観たのが1年以上ぶりとかだったんだけど、前よりもずっと曲にノッてて楽しそうで、被り物姿で踊るコミカルな雰囲気がめちゃくちゃ可愛いのに、ベッド入りからがらっと空気が変わるのすごい。乱れた髪の間からみえる表情なんて前半と同一人物と思えないくらい大人っぽくて、エッチで気だるげなのに甘いベッドで、前半であんなに可愛さ全振りの小道具でしかなかった林檎が、完全に誘惑の果実になってる。蟹ちゃんてひとつの演目の中で少女っぽかったり少年っぽかったり一気に大人の女性になったり、本当に不思議できれいなひとだ。P有オープンでの振る舞いが無邪気で可愛くて明るくエッチでめちゃくちゃ笑ったし元気になった。

夢乃うさぎちゃんって本当にどの瞬間のお顔もTHE美少女で作画がいつみても天才。それだけじゃなく表情がすごくいい…。3回公演でも巻き進行の時間の読めなさでもお腹は減るので、時間の都合上拝見できたのは周年作だけだったんだけど、それでも満足度がすごい。真っ白なお肌に艶々の黒髪に愛くるしいお顔立ちであの豪華な和装だと世が世ならやんごとなきお姫様か…?て感じのビジュアルなのに、堂々としててかっこいいんだよな。ちょっと間が空いてて、今年に入ってからまたお会いする機会が増えてるんだけど、観るたびに威風堂々さが増してる気がするのに、メイクなどもよほど研究されてるのか可愛さも引き立ってきてる気がしてそこを両立してるのすごい。周年作は傘やファンベールの小道具の使い方も上手で、踊る所作のひとつひとつ本当に綺麗で品があって良い…。あと、フィナーレの時とかもみていてすごく思うんだけど、うさぎちゃんのお辞儀がとても深くて指先までピッと神経巡らされてて美しいの、なんかいいなあって思う。


ミカド、がっつり長居するつもりなら椅子に座ったほうが楽だけど、席数が少ない上に構造上何処に座っても大体首と背中が終わる角度ばっかりで、ベストな席が皆にとって大体一緒だから朝早く行ってもそこに座れることはまず滅多になく、更に女の場合はトイレで抜けなきゃ問題もあるから、正直居心地は悪いと個人的には感じる、んだけど、香盤の魅力には抗えないから結局行く。従業員さんは親切なので好きです。出先から電話何度もかけて進行きいても毎度丁寧に教えてくれるし…。ただ3回進行で巻き巻きなの、時世柄仕方ないしあけててくれるだけありがたいけど、観る側としてはシンプルに不便!!!!!! でも踊り子さんにしたら早く終われたほうが体力的にも嬉しかったりすることもあるのかな。

 

 

 

 


この日、ステージ観ながら今からこんな泣いてておまえ9月どうすんだ???って自分でも動揺するくらいこの日はワッと泣いてしまってビビったんだけどなんの感情なのかもよくわかんなかった。ステージちゃんと観れなくなるからなるべく泣きたくないんだよな〜〜私にはもう取りこぼしてる時間なんてないんだからさ〜〜〜!!!!!ア〜〜〜〜〜〜!!!!!!!こういうのもひとうひとつ整理つけていきたい。早く大丈夫になりて〜〜〜

2021年7頭・渋谷道頓堀劇場

7頭の休みは道劇に捧げた。悔いなし。ここはひとまず9月まで記憶を取りこぼさない自分用の観劇めもなので好き勝手書くし、長々書きたくなることもあれば短く終わることもあるけど他意はなくて別に気分とかテンションとかです。

 

●トップが春ちゃんうれしいな!!!!美月春ちゃんは「あんみつ姫」と、新作「板の/上の/魔物」2個出し。あんみつちゃん久しぶりに観た!嬉しい!後から調べたら3年ぶりだった!春ちゃん前髪あるのも久しぶりにみた!かわいい!と脳が死んでいるとしか思えない感想なんだけど、実際、春ちゃんの直球かわいい演目は脳死状態にしてくれるだけの満点の可愛さがある。真っ赤で賑やかな柄がいっぱいの打掛が、子供のころ夢中でアニメ観てた甘辛城のお姫様を連想させてくれる。好きすぎてなりきりかんざしセット買ってもらったもんね。幼少の自分に、おまえ将来ストリップ劇場であんみつ姫みてるぞ!って教えてあげたいね。
本人曰く、人が死なない・睨まない・不穏じゃない珍しい和モノって言い方笑っちゃったけど(死ぬし睨むし不穏な和演目も好きよ)本当にちゃめちゃめして明るく可愛く健康的なお色気がいっぱいで。でも、夢の中に誘って包み込んでくれるような、無垢で優しくて眩しいベッドも好き。盆にねそべって、ねむくなっちゃった~って仕草するところ本当にかわいい。それにしてもこんなに素敵なベッドだったかなあと思いながらうっとりみた。ステージ観るとき余計なこと考えないようにしてるけど、この演目観るのきっと最後なんだな、とふと思ったら泣けてしまうのは仕方なくない? だって曲がまたさあ…ウーーーーーッ なにがあってもそばにいるよ…泣
「板の/上の/魔物」ステージに現れたときの上下黒のあの服装、某MCを彷彿とさせる…?と思うと同時に始まってすぐ、あ~~やっぱりそゆこと~!って把握。演目名からうっすら香ってる通り、ナンバーワンDJとナンバーワンMCによる某ユニットの楽曲のみで構成されてる演目なんだけど、その選曲がずっともう天才的に春ちゃんのキャラソンか?ってくらい“そう”すぎて、マジで説得力がすごいんですよ。私は、春ちゃん春ちゃんの「好き」を演目に落とし込むときのやりかたが変幻自在すぎてちょうすきだ。

小気味いい脱ぎ方も気風の良いエッチさも全部バチッとハマってるし、ちょっと胸がぎゅっとなるベッド入りからの、煽りに煽る立ち上がりでテンション上げきって終わるの最高~~~かっけ~~~も~~~好きにやっちゃって!!!

 

●愛奈さん。演目名がわからないのだけど、前月に栗橋と大和で拝見した2演目と同じかな?たぶん。品があるな~と感じるのはバレエの動きが多用されているから? 足の爪先や手の指先までの動かし方が丁寧で優雅なのよ。ここのところ続けて拝見する機会が多かったんだけど、デビューしてそんなに間もない頃以来で観たから、メイクも髪型も雰囲気が変わって大人っぽくなっていらっしゃったのでびっくりした。

 

●浅葱アゲハさん。「おあげちゃん」前週にも拝見していたから展開はわかっていてもやっぱりビクッッッッと2センチくらい浮く。今まで愛おしそうに睦み合ってたとろける表情からスッとその温度がさがった瞬間の狂気と、振り乱した髪の隙間からの眼光、相手を殺めたあとの白い手が震えているところなんかも、間近でみると凄味が増す。表現力がすごい。演目の冒頭と同じ女性とは思えないくらい。
「One last kiss」率直に、美しすぎる…と思った。品の良いボタニカル柄の緑のドレスを纏って凛としたアゲハさんの姿かたちやダンスやエアリアルは勿論だけれどそれだけじゃなくて。たとえば、一曲目の終わりで眠るように目を閉じて、二曲目の頭で照明がついた時にもその場で同じように目を閉じているのに衣装だけが様変わりしてる。そういう流れだとか、某新劇アニメ映画の劇中歌や歴代メインテーマで構成されてる演目だけど、作品の内容が演目に反映されてるわけじゃない、でもその楽曲から想起されるイメージが本当に見事に落とし込まれてて、あっっっ新劇だ………て思う瞬間がなぜか何度もあって不思議なきもちだった。
「ダンボ」以前に一度だけ拝見したことがあった演目。世界一有名な空飛ぶぞうさんのモチーフの可愛いとこがぎゅっっっと凝縮された衣装や、サーカスのテントに見立てた布とかディテールがとにかく凝ってる。し、アゲハさんが何某かの物語をモチーフにされた演目って、ちゃんとストーリー性があるのに押しつけがましくはなくて、そこに取り入れるエアリアルの技のバランスとかもなんかもう全部すご…て思う。ダンボの無垢な魂とか夢叶う瞬間のまぶしさがストリップの舞台でみれるんだぞと子供のころの自分に教えてあげたいよ。お前ビデオめっちゃ観てたもんな。


●黒井ひとみさん。エスケープ、黒井版にんぎょひめ、Black Lilyの3個出し。日にち変えて全部観れました。
私ひとみさんの選曲も好きで。エスケープの、ママの在りし日の自分を振り返っているときの選曲がずっと、誰にでもわかりやすい王道を抑えているところが流石だし、夢の日々を振り返る導入のあの曲や、夢から覚めたときのあの曲(女声カバーなのがまた最高)、過ぎた在りし日をまるで恋に例えているみたいに思えてぐっときちゃう。何度か観ていたらそういう感じ方をするようになった。何度みてもやさしいきもちになれる演目です。この後のデジの時間でエプロン着けてくれてる率も高いのが好きで撮りにいくたびつい「ママ…」て言っちゃう。クソキモ害悪客か? は? そうですが?
黒井版にんぎょひめ。ひとみさんのお芝居仕立ての演目大好き。豪華で可愛くて凝りに凝った衣装に溜め息でそう。だってずっとキラキラしてんの。人魚姫がモチーフということで、切ないかんじなのかな…?という貧困極まりない発想を当然裏切って、衣装に負けないくらいキラッキラのハッピーエンドを、自分の手足で掴み取りにいける現代の人魚姫だった。初めてのその時にドキドキする仕草や表情もそうだけど、自在に踊れる両脚を得た人魚姫が、初めてみる自分の足の間を覗いて、わぁ…♡って驚いたような嬉し恥ずかしの反応するとこ、芸細か~~ってなった。好き。みんな元気になるじゃん。
「Black Lilly」わたしこれ初見の感想「濡れました…」って言って笑われたんだけど、これはマジ。何回観ても結果は同じ。マジで濡れるから。悪魔的なまでにドイケのフェムタチ顔の聖女のひとみさんのあの目と指と舌を目撃してしまったら、女は濡れるし、盆を見上げるおじさんたちが、エロ漫画の言葉でいうところのメス顔になるのも自然なことでしょ。大和、ミカドでも拝見したけど渋谷で観るBLの圧倒的アングラ感。照明バッチバチの爆音ボッコボコで頭を殴られるし没入感がすごい。
お相手の巨乳シスターさんの信仰の対象にして象徴である十字架を奪って全身いやらしく責める様子ドエロくてもう夢中なんだけど、これを「背徳的でエロい演目」で終わらせないのが、立ち上がりであの曲がかかってからの時間にある、と思う。なんかうまくいえないけど一気に景色が変わりませんか…? 背中に耳をくっつける仕草できゅんとするし、神様は何にも禁止なんてしないし、恋してる力に魔法をかけてくれるんですよ。そういえば、ひとみさんがステージで演じる女の子は最後に必ず自分で幸せになってるってことを強く思い知らされる。
最後の「せーのっ」のくだりは、ミッション系の女学生同士が笑い合ってるみたいで(純度の高い妄想)可愛すぎてずるい。冒頭の聖書の一説にあった「悪魔」が意味深だな……という気もするんだけど、神様は何も禁止なんかしてないし、聖書の教えを超えたものって確かにあるからね…
それにしてもそらんじるのが聖書のくだりなのってめっちゃサマになっててうらやましい私もやりたい。でも私がそらんじられるのは残念ながら般若心経だけなんだよ……仏教校だったから…

 

●六花ましろさん。10周年おめでとうございます。私が拝見したのは周年作の「鯨」と、沖縄の演目のふたつ。
「鯨」の衣装の美しいこと!かつ可愛らしさもあって、演目のイメージにぴったり合う意匠がそこかしこに凝らしてあって、何より、ましろさんに本当にめちゃめちゃめちゃめちゃ似合う…それにしてもましろさんてブルベ冬の女性~~~って感じだ…この週の口紅の色もすてきだった…。
海の概念を体で表現しながら、その美しい衣装を脱いでいって、髪を解いて、何も纏わない姿が一番きれいだと感じさせてくれるから、ましろさんのこの演目の説得力みたいなものが、すごい。劇場は海みたいだし胎内みたいで、ましろさんは揺らめく光の中にきっといつまでも泳ぎ続ける気高い存在にしかみえない。と思いながら観てたところであのイントロ流れて、アーーーーーーこれはーーーーーって体中に電流が走った。あの曲の概念の具現化そのものでは?すぎてずっと口あけて観ちゃったよ。最後また海に帰っていってしまうのがまた…


ましろさんがもうひとつ出されていた「沖縄」の演目も観たからそのイメージと合わさってなんだと思うけど、わたしはこの鯨を観ている間じゅう、「人魚に会える日。」という沖縄の映画のことを思い出して、人魚に会える日って今日のことかも…………ってずっと思っていた。

その映画で指している人魚というのは、架空の生き物のことではなく、沖縄の海にいるある生き物のことを人魚と称している。観てよかったとは思ったけど、ちょっともう二度目は観れないなと思うくらい私にとっては色々しんどかった映画だった。生まれた時から基地がある街に育った監督が若干19歳で撮ったもので、沖縄のあたたかい部分と、そうじゃなく陰になっている部分が両方描かれていて、沖縄の二面性みたいなのが如実に出ている作品で、何というわけではないんだけど、その映画のことを無性に思い出してしまっていた。そういえば映画にはこっこさんも出てた。
この映画が関東でも公開になった時に強く薦めてくれた、沖縄に対して並々ならぬ思い入れがあり現地にもよく足を運んでいる友人(特にスト客ではない)に、しぶやで人魚に会えるぞ!とこの演目のことを強く推したら、なんと単身観に行ってくれて、「人魚に会える日って今日だった…」と感想をくれた。ビシャビシャに泣いたと言っていて、なぜか私が繰り返しお礼を言われた。いやましろさんに言いな!?と思いつつ、バイブス合う友達がいるのは嬉しいことだ…

 

 

この週は行くたび盛況だった印象がある。あらゆる愛情にあふれていたましろさんの周年イベント日も含めて、結局3回いった。最近仲良くなった新しいジャンルのおたくの友達と一緒にと、その次の日は例の20年来の親友とその友達の初スの女の子を伴ってと、そして、楽日には私が創り手としても友人としても尊敬している人と一緒に。みんな私と一緒に行きたいって言ってくれるの幸せだな〜。どの日も観劇後は飽きもせず感想を語り合ったし、そのどの日も大事な記憶になった。
親友が連れてきた年若い女の子は初めてのストリップ観劇を楽しみにしてたようで、フルで楽しんではしゃいでいて、こっちまで嬉しくなった。ていうかこの週の香盤のトップ春ちゃんだから、それって彼女がうまれてはじめて観るストリッパーが春ちゃんだったってこと?めちゃくちゃうらやましいな。私もそれやってみたかった。そしたら春ちゃんを心の中でママと呼べたかもしれないのに……(???)
その子は、最近は精神的に参ることが多くて元気がでない、中々ものを食べる気もしなくて、固形物が食べられない……という話をしてたんだけど、観劇後に入ったお店ではごはんをいっぱい頼んで「ストリップ観たら体が生きなきゃって感じになって食べられた」と言って平らげてて、えらい!!そうだよねわかる!!!ってなった。わたしも2年前に仕事で病んで心の病院通ってて飯食えなかったとき全くそんな感じだった。ス帰りは無性にカロリー摂りたくなってラーメンとかめちゃくちゃ食べてたな。今は元気だし10キロ近くふとったけどさ………

いや一緒にストリップ観たらもう完全に私とも友達じゃん。いつでもまた一緒にストリップいこう。そのあとのごはんはきっとおいしいから。どうでもいいけどス観たあとって肉食べたくならない? 私のス観た後のごはんの焼肉+ビール率は異常。ひとりで観に行った日も必ず焼肉と白いご飯とビールをたのんでいる。ないしょだよ。

2021年6結・渋谷道頓堀劇場

6結・道劇。好きな踊り子さんばっかりでごはんを食べにいく暇がまったくない。幸せな悩み。この日、何枚目だかのスタンプカードが満券になった。スタンプ5個でドリンク1本サービスをいつも引き換え損ねてそのまま満券つかっちゃうから、今回は満券使う前に忘れずに引き換えた。えらい。

 

●eyeさんの「人狐」、ケモミミとeyeさんのいつも素敵な和装の使い方が大好きな私が歓喜。衣装や小道具だけじゃなくて演目に合わせて変えられるメイクも髪色も全部全部しぬほど似合うし研究して拘られてるんだなというのが見れば見るほどわかる。

ダンスの中に物語がちゃんと乗せられてる。愛しい狐の亡骸を体内に取り込んだら一人と一匹はひとつになった、というような解釈をしたんだけど合ってるかな。多分合ってると思う。舞いながらひとつの体で狐とヒトの演じ分けが見事にされてるのがすごくて、ひとつの器のなかにふたつの魂が同居していて、ヒトの半身がもう半身である狐をいかにもいとおしそうに愛でる仕草をするところが特に好きだった。

もうひとつ出されていた「Be Italian」、すごい!!!以外の語彙を失ってしまった。eyeさんが手のひらから砂をこぼす仕草をしてからひとたび目線を投げて踊りだせば、そこは一気に地中海の海岸になる…? 手や腰だけじゃ足りず高く上げた足先でもタンバリンを打ち鳴らしながら踊るeyeさんは体全部がリズムで出来ているみたいだったし、すごい技巧のチェア技を艶っぽく披露したあとに躍り出る盆でも、客の手拍子まで完全に操作しちゃう楽器みたいだった。一瞬も目が離せなかった。

 

●埃さん、いつ拝見しても独特のことをなさっていてすごい。前観たときにマッスルな筋トレ演目をだされていてそれがめちゃくちゃ印象に残っていたんだけど、この日はひとつめでネオンカラーの縄での自縛(目を凝らしてみていても本当になにがどうなっているのかわからない滑らかさと手際のよさでとんでもないことになってしまう)と、ふたつめで青いティシューで作ったハンモックで空中をきもちよさそうに揺蕩う姿を拝見できた。埃さんのポーズはすごく柔軟で陰影があるというか、そういう印象で好き。それにしても一曲目の可愛いドレスの下からいきなりネオンカラーの縄がばんと出てくるのはインパクトでかかったな…。

 

●萩尾のばらちゃん。「デビュー作」みるたびに、いつかまたこの場所で君と巡り会いたい概念の化身すぎでは…?という思いが毎回新鮮によぎる。この場所じゃなくても何度だって巡り会いたいよと今なら言えるけれど。盆がせりあがったとき、夕陽が射すようなオレンジ色が照らしてるのが曲とも合ってて好き。盆で頬杖ついたのばらちゃんに微笑みかけられてデレデレしないでいられる人いんの? いたらそいつは人の心がないのでは? 盆から本舞台に戻る際に客席を見渡して、一糸纏わぬ姿で幸せそうに一礼するところ、これがデビュー作というのを鑑みても、いろんな想いがあるのかなと感じて毎回ぐっとくる。

のばらちゃんのステージが、新人さんと思えないくらい堂々としているって云われるのをあちこちで見聞きするような気がしていて、それも確かにそうなんだけど、なにより、ここに立てて嬉しいっていう喜びと自己肯定感にあふれているから私はそこがすごく好きだなと思う。

偶数回はこないだの栗橋から出されている「ハート」。これはもう好きって一言では片づけたくないくらい好きになっている。はじめて観たときから白いキラキラのワンショルダーのドレスで踊るぴかぴかの一曲目が結びついていて、それが今現在の私には直球で眩しすぎてなんだか刺さって泣きそうになって堪えたんだけど、なんか普通にバレてたな…? 立ち上がりのときとかはずっと涙目になってしまいもうだめでした。私が。

のばらちゃんはどの演目もひとつずつとても丁寧に大事にしている印象だけど、この演目では特に内にある想いを大事に演じられている気がしていて。だから誰かを大事に思う誰かの心を痛くない強さで柔らかく掴むようになっているのかな。15分くらいの演目の間ずっと「そばにいてくれてる」と感じさせてくれるようなステージでした。これからきっともっと色んな人に大切に想われる演目になっていくんだろうな。

 

●山口桃華さん。私はストリップ初見の友人をもう20人以上は劇場に連れて来たりしているんだけど、事前にその香盤の踊り子さんのご紹介を簡単に説明したりするとき、桃華さんのことは「ストリップ界の至宝みたいな人だと思う」と云ってしまう。主語デカすぎかい。でも桃華さんのステージって、初めてストリップを観るひとがうすぼんやりとでも期待するもの全てがその期待値を超えて詰まってる気がするから。

6頭の大和でも拝見した人魚姫がモチーフの演目がこの日も出されていて歓喜…。今まで幾つも拝見した桃華さんの演目の中で一番印象深いかも。海の中で全部に愛されてる美しい人魚が地上に出て(そういえば大和で観た時は薬の小瓶の中身を使ったドえっち演出があったけど渋谷では少し変わっていた気がした)得られた足で履いたヒールの爪先に愛おしそうに口づける様子が、ただ幸せを願う心と愛情に満ちてて、それがあんまり眩しいので何の涙なのかよくわからない涙がボロボロ出てしまう。

大和でもビシャビシャに泣いてた私のことを覚えていたらしい桃華さんが「どうしてそんなふうに泣いてくれるの?」と尋ねてくれたんだけど、民草に慈愛を注いでくれるけど民草の感情のことはわからない美しいお姫様の問いかけみたいで「善さ」しかなかった。童話の人魚姫から連想するような悲哀が無くて、ただひたすら多幸感で満たしてくれるのがめちゃくちゃ桃華さんの人魚姫って感じだからです、っていうのをとにかくお伝えしなければと思って早口限界オタクになってしまったけど、一応ちゃんと伝えられたからいいか…。

もうひとつの「飲みすぎんなよ」のパリピ陽キャの宴会みたいな選曲。緩急~~~~!!!! ポニーテールを揺らしてあの惜しみないウィンクで人の心を撃ち抜き可愛く明るく踊る桃華さんはアイドル然とした可愛さと華やかさを振り撒き、椅子を使うターンでは扇情的で奔放なエッチおねえさんになり、ポーズを切る時には客席中を満たす慈愛と幸福があふれてて、観てる人の誰もと両想いだと思わせてくれるから最高…。緩急~~~語彙力~~~

 

●アキラさん!!! アキラさんのステージって、どんな演目をしていても一貫したアキラさんらしさに貫かれているなあ、と思う。スケールの大きさ、バレエのステップをとぶ伸びやかな肢体だとか、流れるような脱衣とか、客席に投げかける視線のあたたかさとかそのときに時々みせるいたずらっぽい顔とか、ポーズを切る瞬間瞬間のドラマティックさとか、そういうの。毎度惚れ惚れしてしまう。

ストリップを観始めて確かまだ3回目とかそのへんで全然浅かった時に初めてアキラさんのステージを観て、女神様みたいだな…と直球で思ったときの印象が強い。私は踊り子さんに対して「女神」って言葉を使うのあまり好きではないんだけど、アキラさんってずっと、ストリップを観るうえでの私にとっての女神様だなあと思う。女神様みたいなのに、きれいに筋肉のついた背中に汗が滴ってびしょ濡れになっていくのが神様じゃなく最高に人間……て思わせてくれるからもっと好き。

この日だしていた水色の衣装の演目のほうは、お衣装の感じや後半使用されていたのが某ゲーム楽曲のアレンジverだったことも相俟って、神殿で神様に奉納する舞いみたいな感があってよかった…。説得力がすごい…。ここがラスボス前の大神殿の最後のセーブポイントかもしれない…?あっじゃあもうここに住みまーす…

 

 

この日は20年来の親友と一緒に劇場に来るのは久しぶりだった。コロナとかの諸々で会うのは半年以上ぶりだったけど数週間に一度は電話で喋り通してたのでひさしぶりな感じはしない。まだぜんぜん学生だったしあの頃はバトロワ深作欣二監督の手で映画化されてオタクの間で大ブームになった年だった。バトロワの映画からそんなに経ってんの?ってこともそうだけど、付き合いがもう20年近いのってなんか嘘みたいじゃん。良くも悪くも変わってないところが多すぎて安心する。有事に備えて互いのiPhone指紋認証登録し合ってたくらいには安心感ある。

今日の香盤は一度は観てほしい人ばかりだったから一緒に来れて満足したし友達も満足してたからよかった。どーげきの中エアコンで寒いから防寒具を絶対持ってきなねと口うるさく言った当の私が薄着すぎて震えていた。これだけどーげき頻繁に来てるのにどうして毎年学ばないのか。夏のどーげきは寒い。

桃華さんのステージを数年前に観たときめちゃくちゃよかったと言ってた友達は今日もやっぱりめちゃくちゃよかったと言ってて、桃華さんにまた会いに来ますって言って「あした?♡」って返されて「仕事やめて劇場に住もうかな。寝袋とか持って」って本気の目で言ってた。住むなし。迷惑客すぎじゃん。たまに劇場にすんでるんですかってくらいよく見る人とかもいるけど。

とにかくごはんを食べる暇のない香盤だったので、劇場でてからでっけ~ハンバーグ食べてパフェ食べるというわんぱくをして、あとはずっっっっっと喋り通して日曜日が終わっていった。家に帰るために乗ったバスの中で自分以外の乗客が皆無だったので、今日のポラをひっそり取り出して眺める。宝物にしたい言葉が書かれていて嬉しかった。窓ガラス。雨。車の通りも少ない夜に自分と運転手以外は無人のバスに乗ってるとこのまま異次元に連れていかれるんじゃないかって不安になることない? ある。